

子どもが落ち着きがなくて困ってしまう。忘れ物も多いし、こっちの話をじっくり聞いてくれない

子どもの部屋が散らかっているし、片付けるように言うと急に怒って物を投げたりしてくる。

このような悩みを持っているご家族は多くいらっしゃいます。
これらのお子さんの行動は不注意・衝動性・多動性などが関係しているかもしれません。
本記事では、ADHD(注意欠陥多動症)ついて解説していきます。
不登校になる原因はさまざまですが、近年は発達障害のひとつであるADHD傾向のお子さんが不登校になる事例が増えています。
本記事では、ADHDとはどのようなものなのか、不登校との関連とその理由、ADHDかどうかの判断をしてもらう方法をご紹介します。
ADHDとは?
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものです。
ほとんどの場合ADHD傾向があるとみられる行動が7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されます。
不注意
注意力や集中力が長続きせず散漫になってしまいます。そのため、物事を忘れる、物をなくす、飽きっぽいことがあります。
多動性
じっとしていることが難しく、常に体を動かしたり、動き回ったり、落ち着きがないことがあります。
衝動性
我慢したり、待つことが苦手で、思いついたことをすぐに実行に移したり、言葉にしてしまうことがあります。時には、相手が話している場面などでも自分が話し始めたり、カッとなって暴力をふるったりものに当たることもあります。
育て方の問題ではない
ADHDは脳機能の発達の偏りや遅れが原因ですので、「親の育て方の問題で子どもがADHDになってしまった」などと思い詰めてしまう親御さんが多いのですが、育て方の問題ではありません。
また、ADHDは障害のため現時点で根本的な治療法は存在しませんが、学校生活での工夫や薬物療法により本人が生活しやすくなる方法を考えていくことが大切になります。
不登校とADHDの関連
上記のような、不注意・多動性・衝動性があることで、いろいろな問題が起きることがあります。例えば、クラスメイトと遊んでいる時に些細なことで我慢が出来ず暴れてしまったり、飽きっぽいことで友人とのトラブルになる場合があります。他には、忘れ物が多かったり、先生の指示を待たずに行動したり、授業中にずっと座っていることに耐えられないなどで学校への不適応が起きてしまうこともあります。
また、ADHDを持つ子どもはその特性をクラスメイトなどからからかわれてしまったり、忘れ物や落ち着きのなさで先生に注意を受けることが多くなることもあります。そのため、自分に自信が持てなくなったり、学校を怖がってしまうことがあるのです。
これらのことがきっかけで、不登校になることがあります。
ADHDかどうか判断するには?
ADHDかどうかの確定診断をするには、病院を受診し診断を受ける必要があります。
しかし、病院を受診しなくても、学校生活での困りごとを減らす工夫を行うことで問題行動が改善する場合があります。
まずは学校のスクールカウンセラー、保健室の先生などに相談してみると良いでしょう。
ADHDだった場合、どうすればいいの?
実際にADHDの診断が降りた場合も、診断が下りない場合でも、基本的には衝動性や不注意によって生じる問題を減らすことが大事になります。そのためには保護者をはじめ子どもの周囲にいる大人が正しい理解をすることが大事です。
また、薬を服薬することにより衝動性や多動性を抑える場合もあります。主治医と効果や副作用などについてじっくりと説明を受けた上で、子どもにとってどのような判断が最適かを考えていくことが大切です。
さいごに
このように、友達とのトラブルが起きたり、学校生活への不適応により不登校になったお子さんの中には、トラブルや不適応の原因が衝動性や不注意の場合もあります。そして、衝動性や不注意について丁寧にみるとADHDの傾向がみられるお子さんも少なくありません。
「ADHDだから、うちの子は~」と考えるよりも、衝動性や不注意によるお子さんの困り感を理解して、解消していくためにはどのようなことが出来るのか。カウンセリングや病院受診なども選択肢に入れながら、保護者が考えていくことが大事になります。
<文献>
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/attach/1361233.htm
より詳しく知りたい方へ
編集人プロフィール

- 公認心理師・精神保健福祉士
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合同会社ぜんと 代表
大学在学中にに不登校や引きこもりの問題を抱える家族支援を目的としたNPO法人を立ち上げる。これまで20年以上、不登校・引きこもりなど家族の問題についてカウンセリングを実践しています。
4人息子の父親。
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