うちの子は、不安が強いみたいで、親としては些細なことでも下痢をしたり頭痛をしたりする。

以前に、いじめられた経験があるから、それ以来、些細なことでビクビクしてしまう。

このような悩みを持っているご家族は多くいらっしゃいます。
本記事では、不安障害ついて解説していきます。

不登校の子どもを持つ保護者の方々に向けた、不安障害について解説する記事です。
不安障害とは何か、原因や症状の種類、対処法について詳しく説明します。

また、子どもたちが不安を抱えたまま学校に行けなくなってしまう場合があることも触れ、親御さんがどうサポートすればいいかをアドバイスしています。
正しい情報を得ることで、不安障害について理解を深め、子どもたちをサポートするための参考にしてください。

※ パニックになって学校に行けない場合は、こちらの記事をご覧ください。
【不登校の背景】パニック障害:症状・原因・対策を解説

この記事を書いた人

不登校なんでも相談室管理人の似顔絵

吉田 克彦(公認心理師・精神保健福祉士)

スクールカウンセリング歴25年超、小学校・中学校・高校(全日制・定時制・通信制)でのスクールカウンセラーとしての活動経験あり。東日本大震災の被災地心理支援、業界最大手の化学製品会社の常勤カウンセラーなどを経て、現在は合同会社ぜんと代表。
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誰でも不安はある、でも不安が大きすぎて生活に影響が出ると不安障害

不安とは、はっきりした原因がない恐怖を感じることです。不安を感じると、汗が出たり、心臓がドキドキする、胸の辺りが痛い、頭が痛い、お腹をくだす、などといった身体症状が現れます。
例えば、大勢の人の前で話すときや、大事な会議や発表の場では、誰もがドキドキしたり、緊張するでしょう。これは、普通の反応です。

心配や不安があまりにも大きくなって、日常生活が送れなくなってしまうなら、それはもしかしたら「不安障害」かもしれません。
多くの場合、この不安障害は10代半ばで発症すると言われています。
その結果、不安が大きくなりすぎて学校に行くことができず不登校になってしまうこともあるのです。

不登校経験のある児童(小学4年生)生徒(中学1年生)とその保護者を対象に令和2(2020)年に実施された「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」によると、「(学校に)最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ」として、小学4年生では26.5%、中学1年生では36.2%が「体調の不調(学校に行こうとするとお腹が痛くなったなど)」と回答しています。

不安障害の種類

不安障害には色々な種類がありますが、この記事では代表的な4つをご紹介します。

パニック障害

何の前触れもなく、突然激しい不安(パニック発作)に襲われます。
吐き気やめまいを感じたり、心臓がバクバクドキドキして、このまま死んでしまう!と感じるくらいの大きな不安です。
また同じ発作がおきたらどうしようと不安になって(予期不安といいます)、以前発作が起こった場所を避けるようになります。
逃げ場のないエレベーターの中や、電車やバスなどの公共の乗り物を利用することもだんだん難しくなってしまいます。

【関連記事】
パニック障害について

強迫性障害

ばい菌や汚れがとても気になって、何度も何度も手を洗わなければいけない気持ちになります。他にも、家のカギを閉めたか何度も家に帰って確認してしまいます。

「家の戸締りをしっかりしているか何度も確かめる」「いくら手を洗ってもまだ汚れていると感じて手を洗い続ける」など。自分でも「おかしい」とわかっていても、やらずにはいられず、本人が1番辛い気持ちを抱えています。その結果、同じこと(強迫行動と言います)を繰り返し続けて学校にも行けなくなってしまうのです。

社会(社交)不安障害

日常生活の中の、ある決まった場面が、とても苦手になって、その状況から逃げるようになります。
例えば、クラスの前で発表するのが怖いスピーチ恐怖、みんなの前で字を書くのが怖い書痙、人前で給食を食べるのが怖い会食恐怖、など。症状はたくさんあります。

緊張する場面が怖すぎて、学校に行けなくなり、人と合うことを避けるようになります。

全般性不安障害

人前で発表するとか、誰かと食事をするといった、何かのイベントがなくても、常に強い不安を抱えています。
なにかひどいことが起きたらどうしようとか、病気になったらどうしようとか、親が死んでしまったらどうしようなど、今は何も起こっていないことを、色々なことをずっと心配してしまいます。

いろいろなことを考えすぎてしまうので、すぐに疲れてしまいます。
またいろいろ考えるので落ち着きがなく集中できず、些細なことにイライラしてしまいます。
緊張のため頭痛や肩こりなどもおこり、眠れない場合もあります。

不安障害の原因は?

はっきりとした原因はわかっていません。しかし、最近の研究では脳内の神経伝達部室が大きく影響していることが明らかになっています。
幸福感や安心感を引き出すセロトニンと、緊張感を引き起こすノルアドレナリンのバランスが乱れることが原因と考えられています。
また、家庭環境や社会環境が原因で、不安障害になってしまうリスクが高まるともいわれています。

不安障害の対処・治療法は?

こどもが、その時だけの不安を感じているだけなのか、不安障害なのかは素人では判断できません。それで、あまりにも本人が苦しんでいる様子なら、性格のせいだと決めつけずに、心理カウンセリングを受けたり、病院を受診したりできるかもしれません。

ひとりで悩まなくてもいいんだよ。味方だよ。いろいろな逃げ道があるんだよ。といったことを示してあげるなら、こどもも安心するかもしれません。
不安を解消してあげられる解決策も早く見つかるかもしれません。

もし不安障害と診断されたなら、現在は薬物療法と認知行動療法が主な治療法として用いられています。

不安を抱えているこどもの助けになるには?

不安を抱えているこどもは、多くの場合、自分の悩みを隠したがります。
それで、「この子の性格」として片付けてしまうなら、本人は自分の我慢が足りないんだと感じてしまって、もっと苦しくなってしまうかもしれません。
不安障害は10代半ば、つまり学校に通っている年代のこどもたちに発症しがちです。

不安原因が学校生活の中にある場合もあります。悩みをひとりで抱え込み、誰にも相談できないとなると、学校に行きたくなくなるのも当然ですよね。
それで日頃から、よくこどもの話に耳を傾け、何でも自由に話し合える関係を築いておくことは大切です。
また、「不安障害」について、正しい情報を信頼できる機関から得ておくのも良い方法でしょう。

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参考文献

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_02.html
http://www.n-ushicli.com/mentalsupport/social-social-anxiety-disorder.html

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投稿者プロフィール

吉田 克彦
吉田 克彦公認心理師・精神保健福祉士
不登校・引きこもりの家族相談を行って20年超。
スクールカウンセリングから、東日本大震災の被災地心理支援、企業内カウンセラーなどを経て、現在は合同会社ぜんと の代表。