うちの子は、不安が強いみたいで、親としては些細なことでも下痢をしたり頭痛をしたりする。

以前に、いじめられた経験があるから、それ以来、些細なことでビクビクしてしまう。

このような悩みを持っているご家族は多くいらっしゃいます。
本記事では、不安障害ついて解説していきます。

この記事では、不登校との関連が深い不安(不安障害)についてご紹介します。
不安・不安障害とは何か、原因・対処法、不安を抱えているこどもたちをどうサポートしてあげられるかについて取り上げています。

不安・不安障害とは

不安とは、はっきりした原因がない恐怖を感じることです。不安を感じると、汗が出たり、心臓がドキドキする、胸の辺りが痛い、頭が痛い、お腹をくだす、などといった身体症状が現れます。

不安と不安障害の違い

クラスの前で話すときや、テストや発表会では、誰もがドキドキしたり、緊張でおなかが痛くなったりします。これは、普通の反応ですね。
でも、心配や不安があまりにも大きくなって、日常生活が送れなくなってしまうなら、それはもしかしたら「不安障害」かもしれません。
多くの場合、この不安障害は10代半ばで発症するようです。
こどもたちの中には、誰にも相談できずにひとりで悩み、学校にいけなくなってしまうこともあります。

不安障害の種類

不安障害には色々な種類がありますが、この記事では代表的な5つをご紹介します。

パニック障害

何の前触れもなく、突然激しい不安(パニック発作)に襲われます。
吐き気やめまいを感じたり、心臓がバクバクドキドキして、このまま死んでしまう!と感じるくらいの大きな不安です。
また同じ発作がおきたらどうしようと不安になって(予期不安といいます)、以前発作が起こった場所を避けるようになります。
逃げ場のないエレベーターの中や、電車やバスなどの公共の乗り物を利用することもだんだん難しくなってしまいます。

パニック障害の解説記事はこちら

強迫性障害

ばい菌や汚れがとても気になって、何度も何度も手を洗わなければいけない気持ちになります。他にも、家のカギを閉めたか何度も家に帰って確認してしまいます。
昔の失敗をいろいろな角度から思い出して、これはもう誰かに打ち上けないといけないんじゃないかと思ってしまうタイプもあります。
自分でも、何か変だと分かっているんですが、どうしてもやめられないので、本人が1番辛い気持ちを抱えています。

心的外傷ストレス障害(PTSD)

とてもショッキングな体験をした人の、色々な症状を表すことばとして用いられています。イライラしたり落ち込んだり泣き出したりといった、うつ症状が出たり、ショックを受けた出来事を思い出させる状況や人を避けるようになります。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の解説記事はこちら

社会(社交)不安障害

日常生活の中の、ある決まった場面が、とても苦手になって、その状況から逃げるようになります。
例えば、クラスの前で発表するのが怖いスピーチ恐怖症、みんなの前で字を書くのが怖い書痙、人前で給食を食べるのが怖い会食恐怖症、などなど、症状はたくさんあります。
何かのイベントがあると、何週間も前から不安になって、体調が悪くなって、当日学校に行きたくないと泣き出すこどももいます。
イベントが終わるとガラッと元気になるので、周りは本人の辛さになかなか気付いてあげられないこともあります。

全般性不安障害

不安になる原因はないのに、いつも大きな不安を抱えています。なにかひどいことが起きたらどうしようとか、病気になったらどうしようとか、親が死んでしまったらどうしようなど、色々なことをずっと心配してしまいます。
不安になることに不安を感じ、一日を乗り越えるだけでどっと疲れてしまうこどももいます。

不安障害の原因は?

はっきりとした原因はわかっていません。
リラックスしたり幸せを感じるセロトニンやドーパミンを出す神経に問題があったり、脳の扁桃体が過敏に反応してしまうといった、もともとの体質が考えられています。
また、家庭環境や社会環境が原因で、不安障害になってしまうリスクが高まるともいわれています。

不安障害の対処・治療法は?

こどもが、その時だけの不安を感じているだけなのか、不安障害なのかは素人では判断できません。それで、あまりにも本人が苦しんでいる様子なら、性格のせいだと決めつけずに、心理カウンセリングを受けたり、病院を受診したりできるかもしれません。
ひとりで悩まなくてもいいんだよ。味方だよ。いろいろな逃げ道があるんだよ。といったことを示してあげるなら、こどもも安心するかもしれません。
不安を解消してあげられる解決策も早く見つかるかもしれません。
もし不安障害と診断されたなら、現在は薬物療法と認知行動療法が主な治療法として用いられています。

不安を抱えているこどもの助けになるには?

不安を抱えているこどもは、多くの場合、自分の悩みを隠したがります。
それで、「この子の性格」として片付けてしまうなら、本人は自分の我慢が足りないんだと感じてしまって、もっと苦しくなってしまうかもしれません。
不安障害は10代半ば、つまり学校に通っている年代のこどもたちに発症しがちです。
不安原因が学校生活の中にある場合もあります。悩みをひとりで抱え込み、誰にも相談できないとなると、学校に行きたくなくなるのも当然ですよね。
それで日頃から、よくこどもの話に耳を傾け、何でも自由に話し合える関係を築いておくことは大切です。
また、「不安障害」について、正しい情報を信頼できる機関から得ておくのも良い方法でしょう。

<文献>
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_02.html
http://www.n-ushicli.com/mentalsupport/social-social-anxiety-disorder.html

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編集人プロフィール

吉田 克彦
吉田 克彦公認心理師・精神保健福祉士
合同会社ぜんと 代表
大学在学中にに不登校や引きこもりの問題を抱える家族支援を目的としたNPO法人を立ち上げる。これまで20年以上、不登校・引きこもりなど家族の問題についてカウンセリングを実践しています。
4人息子の父親。