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HSP(Highly Sensitive Person)とは、特定の個人の感覚が非常に鋭敏である人々を指す言葉です。彼らは、周囲の刺激に敏感であり、感情を強く受け止める傾向があります。また、子どもの場合はHSC(Highly Sensitive Child)と呼ばれます。

HSP/HSCの定義と基本的な特徴

HSP/HSCの定義は、個人差がありますが、一般的には以下のような特徴を持ちます:

  • 刺激への敏感さ:HSP/HSCは、音、光、香りなどの刺激に対して非常に敏感です。他の人が気にならないような刺激にも反応することがあります。
  • 深い思考:HSP/HSCは、情報を深く処理し、繊細な思考を持つ傾向があります。物事をよく考え、感じることができます。
  • 感情の豊かさ:HSPは、感情を強く受け止める傾向があります。喜びや悲しみなどの感情をより深く体験することができます。

HSP/HSCの長所と短所

HSP/HSCの長所としては、以下のような特徴があります:

  • 深い洞察力:HSP/HSCは、繊細な思考と感受性を持っているため、他の人々が見逃すことがある詳細やニュアンスを見つけることができます。
  • 創造性:HSP/HSCは、感受性と豊かな感情を持っているため、創造的な表現やアートにおいて優れた能力を発揮することがあります。

一方、HSP/HSCの短所としては、以下のような特徴があります:

  • 過剰な刺激への反応:HSP/HSCは、刺激に対して過敏に反応します。そのため、環境の変化やストレスに敏感になることがあります。
  • 感情の波が大きい:HSP/HSCは、感情を強く受け止めるため、感情の落差が激しく、コントロールが難しいことがあります。

HSP/HSCの子どもの特性

HSP/HSCの子どもは、一般的に以下のような特性を持つことがあります:

  • 新しい環境への適応の難しさ:HSP/HSCの子どもは、新しい環境になじむのに時間がかかります。新しい刺激や人々に対して敏感であるため、安心感を得るまでに時間がかかります。
  • 深い思考と洞察力:HSP/HSCの子どもは、物事をよく考え、繊細な観察力を持つ傾向があります。そのため、他の子どもとは異なる視点から物事を捉えることができます。
  • 強い共感力:HSP/HSCの子どもは、他の人々の感情を深く理解し、共感する傾向があります。他の子どもの感情に敏感に反応し、サポートすることができます。

不登校とHSPの関連性

不登校の原因の1つにHSP/HSCの繊細さが関連しているとの指摘もあります。くわしく見ていきましょう。

環境の変化や社交活動への感受性

HSP/HSCの子どもは、環境の変化や社交活動に対して非常に感受性があります。新しい環境に適応することや他の子どもとの交流に不安を感じることがあります。

そのため、学校へ行くことが難しくなることがあります。新しい刺激や人々に対して敏感で、安心感を得るまでに時間がかかることがあります。

自己評価の問題と比較によるストレス

HSPの子どもは、他者にどうみられているかをひどく気にします。また、他の人と比較してしまうことでストレスを感じることがあります。特に学校環境では、集団生活の中で成績や能力の比較が頻繁に行われるため、良い結果が出ないとても恥ずかしく感じてしまいます。その結果、自己否定感や不安を抱えることがあります。このような問題が続くと、学校へのモチベーションが低下し、学校に行くことが怖くなることがあります。

感情の強さと他者の感情への敏感さ

HSPの子どもは、感情が非常に豊かで強い傾向があります。彼らは喜びや悲しみ、怒りなどの感情をより強く体験し、他の人々の感情にも敏感に反応します。

他の子どもたちの感情に共感し、他者の感情の影響を受けやすくなります。学校生活では、クラスメートや教師との関係やグループ活動などでさまざまな感情が溢れます。そのため、感情の強さと敏感さがストレスや不安を引き起こし、不登校につながることがあります。

このように敏感さや繊細さが不登校になる理由のひとつと考えられます。

HSPの子どもへの適切な接し方

HSP/HSCの子どもへの適切な接し方は、彼らの特性や感受性を理解し、受け入れる態度を示すことから始まります。以下に、具体的な接し方のポイントをご紹介します。

1. 繊細さや敏感さを理解し、受け入れる態度を示す

感受性が高いため、環境の変化や社交活動に対して敏感に反応します。その反応に対して、きつくしかったり反応しないように指示するといった否定的な対応をとることは避けましょう。本人も反応したくて反応しているわけではなく、反応を止めたくても止まらないので意味がありません。人の評価を気にするため、家族などに否定的に扱われることで、さらに自己評価を下げてしまいます。特性を理解し、認めてあげましょう。そうすると、子ども自身も受け入れはじめ、自己肯定感や自信を高めることができます。

2. 子どもの感性を肯定し、無理をさせない

HSP/HSCの子どもは、繊細な感受性を持っています。子どもが感じることや思うことを真剣に受け止め、肯定することが大切です。また、無理な要求やプレッシャーをかけないようにしましょう。本人のペースや限界を尊重し、ストレスや疲労を軽減する配慮を行うことが必要です。

3.子どものペースややり方を尊重する

HSP/HSCの子どもは、他の子どもたちと異なるペースややり方で物事に取り組むことがあります。自分のリズムで学びや成長できるように、その個別のニーズに合わせたサポートを提供しましょう。子ども自身が表現できる環境や学習スタイルに合わせた工夫を行うことが有効です。

4.コミュニケーションを重視する

HSP/HSCの子どもは、人間関係にも敏感に反応します。そのため、コミュニケーションを重視し、会話を通じて、子どもの意見や感情を理解し、共感するしてあげましょう。そうすることで、信頼関係を築くことができます。

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5.サポートの提供と専門家の協力

HSP/HSCの子どもには、適切なサポートが必要です。教育者や保護者は、彼らの特性を理解し、彼らが必要とするサポートを提供することが重要です。また、カウンセラーに相談することも有効です。

以上が、HSPの子どもへの適切な接し方のポイントです。彼らの特性や感受性に対して理解を示し、受け入れる態度を持ちながら、彼らが健やかに成長できるようにサポートしていきましょう。

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まとめ:子ども本人を見ることが大事

HSP/HSCの子どもたちの特徴やサポートについて紹介してきました。

全人口の15~20%はHSP/HSCの傾向のある人と言われています。つまり、珍しいことではありません。また、「HSP/HSCだから不登校になる/ならない」という単純なことではありません。

HSP/HSCでも不登校にならないお子さんもいますし、不登校でもHSP/HSCではないお子さんもたくさんいます。

「うちの子は、HSCだから不登校になった」と考えるのではなく、「もしかしたら、うちの子は他の子に比べて敏感な子、繊細な子なのかも」と考えることが大事です。

子どもを分類するのではなく、唯一無二の1人の子どもとして扱うことが不登校対応の基本です。

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編集人プロフィール

吉田 克彦
吉田 克彦公認心理師・精神保健福祉士
合同会社ぜんと 代表
大学在学中にに不登校や引きこもりの問題を抱える家族支援を目的としたNPO法人を立ち上げる。これまで20年以上、不登校・引きこもりなど家族の問題についてカウンセリングを実践しています。
4人息子の父親。