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不登校とはさまざまな理由で学校に登校できていない状態のことを指しますが、実際に学校に登校していなくても不登校とみなされず、不登校の数にカウントされない場合があります。

本記事ではその理由や文部科学省がカウントする不登校の定義についてまとめました。

この記事を書いた人

不登校なんでも相談室管理人の似顔絵

吉田 克彦(公認心理師・精神保健福祉士)

スクールカウンセリング歴25年超、小学校・中学校・高校(全日制・定時制・通信制)でのスクールカウンセラーとしての活動経験あり。東日本大震災の被災地心理支援、業界最大手の化学製品会社の常勤カウンセラーなどを経て、現在は合同会社ぜんと代表。
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登校していなくても不登校ではない状態とは?

文部科学省が公表した不登校調査では、全国の小中学校で2021年度不登校の状態にあった児童生徒は前年度から4万8813人(24.9%)増の24万4940人でした。

しかし、この数はすべての不登校児がカウントされているわけではありません。
つまり、実際に学校に行けていない子どもの数はこの数よりさらに多いです。

文部科学省の定義

文部科学省の定義では、不登校とは「児童・生徒指導要録」の「欠席日数」欄及び「出席停止・忌引き等の日数」欄の合計の日数により、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒のことを指します。

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不登校に該当しない長期欠席

文部科学省の定義には例外があり、「病気」や「経済的理由」「新型コロナウイルスの感染回避」などといった理由で登校しない場合は不登校にはカウントしません。

文部科学省が公表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」による定義は下記の通りです。

  • 「病気」には,本人の心身の故障等(けがを含む。)により、入院、通院、自宅療養等のため、長期欠席した者を計上。(自宅療養とは医療機関の指示がある場合のほか、自宅療養を行うことが適切であると児童生徒本人の周囲の者が判断する場合も含む。)
  • 「経済的理由」には、家計が苦しく教育費が出せない、児童生徒が働いて家計を助けなければならない等の理由で長期欠席した者を計上。
  • 「不登校」には、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者 (ただし、「病気」や「経済的理由」、「新型コロナウイルスの感染回避」による者を除く。)を計上。

※「不登校」の具体例

友人関係又は教職員との関係に課題を抱えているため登校しない(できない)。
遊ぶためや非行グループに入っていることなどのため登校しない。
無気力で何となく登校しない。迎えに行ったり強く催促したりすると登校するが長続きしない。
登校の意志はあるが身体の不調を訴え登校できない。漠然とした不安を訴え登校しないなど、不安を理由に登校しない(できない)。

 〇「新型コロナウイルスの感染回避」には、新型コロナウイルスの感染を回避するため、本人又は保護者の意思で出席しない者、及び医療的ケア児や基礎疾患児で登校すべきでないと校長が判断した者を計上。

 ○「その他」には、上記「病気」、「経済的理由」、「不登校」、「新型コロナウイルスの感染回避」のいずれにも該当しない理由により長期欠席した者を計上。

 ※「その他」の具体例

  • 保護者の教育に関する考え方、無理解・無関心、家族の介護、家事手伝いなどの家庭の事情から長期欠席している者。
  • 外国での長期滞在、国内・外への旅行のため、長期欠席している者。
  • 連絡先が不明なまま長期欠席している者。
  • 「病気」「経済的理由」「不登校」の理由により登校しなかった日数の合計が30日に満たず,学校教育法又は学校保健安全法に基づく出席停止,学年の一部の休業,忌引き等の日数を加えることによって,登校しなかった日数が30日以上となる者。
  • 新型コロナウイルスの感染の急拡大期に,学校又は教育委員会から推奨あるいは提示されたオンライン学習(オンラインと対面のハイブリッドで学習指導を行う場合を含む。)に参加したことによって,登校しなかった日数が30日以上となる者。

ただこの記載は曖昧であり、例えばうつ病などの精神疾患で「病気」と判断された場合、療養としての欠席となるため不登校の欠席としてカウントされない場合があります。

不登校の定義は非常に曖昧

先程も述べたように、文部科学省の調査では不登校の定義は曖昧であり、実際に学校に行けていない子どもの数はわかりませんし、不登校の状態になった理由もそれぞれです。

そのため、不登校の人数などにこだわらず、「我が家の子どもはどうなのか」を考えるのが大切です。

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さいごに

このように、欠席でも不登校にカウントされないことがあるため、実際に学校に登校できていない人数は公表されている不登校児の数よりも多いです。
人数などの数字に囚われず、不登校児一人ひとりに合わせた対応策をとっていくことが問題解決の近道になります。

引用文献

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説:文部科学省 (mext.go.jp)(2024年1月28日閲覧)

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投稿者プロフィール

吉田 克彦
吉田 克彦公認心理師・精神保健福祉士
不登校・引きこもりの家族相談を行って20年超。
スクールカウンセリングから、東日本大震災の被災地心理支援、企業内カウンセラーなどを経て、現在は合同会社ぜんと の代表。