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スクールカウンセラーは、学校の相談室で相談できます。

学校の雰囲気や生徒や教職員の様子も理解している場合が多く、より状況にあった解決策を検討できます。一方で、平日の昼間しか相談ができず、カウンセラーの力量に大きく左右され当たり外れが大きいなど、デメリットも大きいです。

私はスクールカウンセラーとして現在まで20年以上活動し、「小学校スクールカウンセリング入門」など、スクールカウンセリングに関する執筆も多くしています。また、スクールカウンセラーのスーパーバイズも行っており、スクールカウンセラーの事情を十分理解しています。その私が、スクールカウンセラーについて、解説いたします。

スクールカウンセラーの活動内容は、以下のような役割が期待されております。

1. 児童生徒に対する相談・助言
2. 保護者や教職員に対する相談(カウンセリング、コンサルテーション)
3. 校内会議等への参加
4. 教職員や児童生徒への研修や講話
5. 相談者への心理的な見立てや対応
6. ストレスチェックやストレスマネジメント等の予防的対応
7. 事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケア
スクールカウンセラーの役割及び意義・成果について(文部科学省より)

この記事では、不登校の児童生徒本人もしくは保護者とのカウンセリングに関する内容を中心に取り上げています。

この記事を書いた人

不登校なんでも相談室管理人の似顔絵

吉田 克彦(公認心理師・精神保健福祉士)

スクールカウンセリング歴25年超、小学校・中学校・高校(全日制・定時制・通信制)でのスクールカウンセラーとしての活動経験あり。東日本大震災の被災地心理支援、業界最大手の化学製品会社の常勤カウンセラーなどを経て、現在は合同会社ぜんと代表。
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第一選択としては間違いなし

無料で利用できますし、教職員との連携も期待できます。まず最初に相談するには、最適でしょう。

利便性

無料で利用できますが、平日の日中しか開室していないため、土日休みの仕事をされている方は利用しにくいかもしれません。

料金について

無料で受けることができます。

予約の取りやすさ

カウンセリング専用の電話回線がある学校も多い。担任や養護教諭などを通じて申し込むこともできます。

通いやすさ

学校内にあるので、基本的には家から近いでしょうし、駐車場なども十分あるので車でも通いやすいでしょう。

開室時間

基本的には平日の日中のみです。また、スクールカウンセラーが週1回程度しか訪問しない学校がほとんどです。なかには月1回だけの訪問や、申込があった時だけ拠点となっている学校からスクールカウンセラーが来る場合もあります。非常に少ないので、すでに予約がたくさん入っていて申込から1ヶ月以上待たされることもあります。学校によっては常勤のカウンセラーが配置されたり、相談室担当の教員が常駐していることもあります。

卒業後の面接の継続

スクールカウンセラーはその学校に派遣されていますので、卒業後に相談を継続することはできません。

なかには、小学校と中学校を同じスクールカウンセラーが担当していて、小学校を卒業して中学校になっても継続できる。あるいは、スクールカウンセラーが別の曜日に勤務している病院や相談機関があって、偶然そこで相談ができることは絶対にないとは言えませんが、可能性は少ないです。

卒業しなくても年度末で異動になったり、退職や育休・産休などでのカウンセラーが変わることがあります。
スクールカウンセラー以外の相談機関でもでもこれらの理由でカウンセラーが変わることは当然あります。スクールカウンセラーは基本1人職場で、4月から翌年3月までの契約となっています。前任者と後任者が一緒に働く期間がなくの引継ぎがほとんど行われません。
したがって、カウンセラーの変更は、また最初から相談をし直すことになります。

中学校1年から不登校になり、1年・2年は同じスクールカウンセラーでとても良く対応をしてもらった。
しかし、3年生になりカウンセラーが変わってしまい、担任の先生も変わったため、受験の大事な時期に混乱してしまった。

カウンセラーによっての能力の差もあります。「当たり外れが大きい」ので、もし少しでも疑問があれば直接聞いて確認する。

相談手段

基本的には対面です。また、家庭訪問も可能な場合が多いです。

対面

保護者面接も子どもとの面接も可能です。不登校の場合、本人が学校に来るのは難しいことが多いので、保護者面接が得意なスクールカウンセラーかどうか確認するのが良いでしょう。具体的には「不登校の相談で本人は面接に行けないのですが保護者だけの面接でも効果ありますか」と率直に聞けばよいでしょう。

オンライン

コロナ禍の時には対応していた学校もありましたが、現在はほとんどの学校でオンラインでのカウンセリングはできません。

電話

カウンセリング専用の電話回線がある学校が多いので、電話でのカウンセリングも可能です。ただし、カウンセラーによって電話でのカウンセリングの力量が違います。電話での相談が希望の場合には「相談室に行かず電話での相談でも大丈夫ですか?」と確認してみましょう。

メール

メール相談はほとんど対応していません。対応している場合でも、週1日の勤務の中での対応ですので、頻繁なメールのやりとりは難しいでしょう。

カウンセラーの動き

カウンセラーの専門性

基本的には、公認心理師・臨床心理士といった公的なカウンセリング資格を有しているカウンセラーが活動していますので専門性は高いです。しかし、経験年数の浅いカウンセラーが派遣される場合が多く、一人で勤務することがほとんどのため、スクールカウンセラーとして十分に機能できていない場合も多くあります。

また、定年退職後の教員が相談員として勤務したり、公的なカウンセリング資格がなくてもスクールカウンセラーとして活動している場合もあります。

カウンセラー同士の連携

基本的に、スクールカウンセラーは一人で勤務するので、他のカウンセラーとの連携はほとんどありません。年に数回の事例検討会議があります。

学校によっては、都道府県予算のカウンセラー1人と市区町村予算のカウンセラー1人などのように複数のカウンセラーが配置されている場合があります。その場合は、カウンセラー同士情報共有をしている場合が多いです。内容によって担当者を変えたり、両方のカウンセラーが対応するなど柔軟な動きができます。

他職種との連携

学校の中にいるので、担任・学年主任・養護教諭・管理職などの教職員との連携ができます。また、スクールソーシャルワーカーとの連携も可能です。
しかしながら、経験年数の浅いカウンセラーが派遣される場合が多く、その場合にカウンセリングはもちろん教員などとの連携が上手にできない場合もあります(※1)

その他

学校にいるので、カウンセリングだけでなく授業の様子を確認してもらうこともできます。また、担任の先生や同級生の様子なども把握しているので、関係者の性格なども踏まえたアプローチができます。

本来ならスクールカウンセラーはカウンセリング能力だけでなく、関係者とのコンサルテーション(協議)やコーディネーション(調整)が出来ないといけませんが、経験不足だったり、守秘義務を勘違いして児童生徒の情報を教員と全く共有しない場合もあります。個人へのアプローチだけでコンサルテーションをしない(できない)カウンセラーもいます。

これらは、個々のスクールカウンセラーの技量で大きく異なります。そのため、申し込む段階でカウンセラーに確認をしたり、担任や養護教諭などに相談してみるといいでしょう。

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引用文献

文部科学省「2 スクールカウンセラーについて」児童生徒の教育相談の充実について―生き生きとした子どもを育てる相談体制づくり―(報告)
吉田克彦・若島孔文編著:小学校スクールカウンセリング入門 2008 金子書房 
教育相談情報提供システム:スクールカウンセラーをめぐる課題 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所

投稿者プロフィール

吉田 克彦
吉田 克彦公認心理師・精神保健福祉士
不登校・引きこもりの家族相談を行って20年超。
スクールカウンセリングから、東日本大震災の被災地心理支援、企業内カウンセラーなどを経て、現在は合同会社ぜんと の代表。